第九日目 9月23日:その5
シーラーズ市内観光:その4
(バザール・ヴァキール、夕食、そして・・・)
バザールへ向かう
夕方の町はかなり道路が混んでいた。
それは、夏休みが終わって今日から実質的に学校が始まったために、親たちが車で子供たちを迎えに来ることが大きな原因となっているとセイフィさんは言っていた。
そのため、次に向かうバザール(バザール・ヴァキール)までは直線距離でも1km強しかないのに、20分くらい掛ってしまった。
このバザールは、キャラバンサライと銭湯とモスクが一体になっているバザールだと言うことだった。
バザールに到着すると、その中をセイフィさんの案内で歩いて、ひとまず中央?の広場へと出た。
そこからはフリータイムとなって、皆さん各自バザールの中で買い物なり散策なりをすることになった。
迷った時はイラン人に電話を借りること
ところで、このバザールは内部が複雑に入り組んでいて、余程歩いている自分の位置を確認しておかないと迷子になると言う注意を受けた。
他の町のバザールと違って、通路が比較的縦横に規則的に走っているのではなく、通路が変則的に走っていた。
そんなこともあってセイフィさんは迷子にならないようにと注意をしてくれていたが、「もし迷子になった場合は、私の携帯電話の番号を教えておきますので誰かに電話を借りて私に電話してください。 『ロットファン テレフォン』と言えば電話を貸してもらえます。」と言った。
「電話を借りるって、いきなり見ず知らずの日本人に電話を貸してくれるんですか?」と聞くと、「大丈夫です。 イラン人は電話を貸してくれます。」とセイフィさんは答えていた。
へぇ~~、イラン人って親切なんだね ^_^;
フリータイムもちょっとお疲れで
そんな注意があった上でフリータイムになって、皆さんそれぞれバザールの中に消えて行った。
集合場所のその広場はバザールの中庭のようになっていて、そこからバザールの通路に入るには何箇所かの入口があったので、その一か所から中に入ることにした。
夕方の買い物の時間に当たっていたのか、バザールの中はたくさんの客でごった返していた。
朝ホテルで10ドル分を現地通貨のレアルに両替をしておいたので、いいものがあったら買うこともできたが、どうも今一だった。
疲れが溜まっていたのか、バザールの中を見て周っていても気分が乗らなかった。
それで、集合時間の15分も前だったが広場へ戻ることにした。
広場には既に何人かの人が戻っていて、腰を下ろして休んでいたりしていた。
それで同じように腰を下ろして休んでいると、添乗員のYさんがやって来て「大丈夫ですか?」と心配そうに声を掛けて来た。
その時、恐らく余程疲れた顔をしていたんだろう・・・。
夕方のアザーンが聞こえてきた
午後6時15分の頃だったか、集合時間まではまだ少し時間があったが、珍しくアザーンが聞こえ始めていた。
(そう言えば、イランにやって来てから、アザーンを聞くことはなかったなぁ~)と思った。
エジプトやヨルダン、シリアなどの中東のイスラム国では朝晩、町中でアザーンが聞こえていたが、イランでは聞いてなかったと改めて思い出した。
そして、エジプトやヨルダン、シリアでは、朝、アザーンで目覚めたものだが、イランではそんなことも一度もなかった。
もしかして今までアザーンは流れていたのかもしれなかったが、耳に入ってこなかったのかもしれない・・・。
そんなことで、夕暮れのバザールの中でアザーンを聞き始めていると、目の前をカップのようなものを手にした女性が近くにいた仲間のところへ歩いて行く姿が見えた。
そしてその仲間の女性にカップの中に入っていたものを配ると、それを早速口に入れ始めていた。
(あれ? 公然と食事をしてるようだけど、いいのかな? 彼女たちはムスリムじゃないのかな?)
その後集合時間になると、皆さん無事迷子になることもなく戻って来たが、中には買い物をして両手に袋に入れた品物をぶら下げている人もいた。
そして再びバザールの中を歩いて外に向かったが、バザールの中ではグラスで何かを飲んでいる人の姿が多く見られた。
また、先ほどの女性たちと同じように、食べ物を口に入れて食べている人もいた。
断食の時間は終わったのかな?と思っていると、セイフィさんから「夕方のアザーンが断食終了の合図となっています」と説明があった。
(なるほど、、、そう言うことなんだ)
ホテルで夕食
バザールでのフリータイムの後は、もう一か所、ハーフェズ廟に行く予定だったが、既に日が落ちていたので明日に変更すると言うことで、その後はバスで移動して市内の「シーターレストラン」で夕食を摂った。
メインはサーモン料理でその他はビュッフェスタイルだったが食欲が沸かずで、個人的には盛り上がりの欠けた夕食となった。
シャッパヘール
夕食を終えてホテルに戻ったのは、午後8時だった。
バスを降りる際、運転手のハタミさんが、「シャッパヘール」と何度も繰り返していたので、その言葉を真似して繰り返すと、ハタミさんは「そうそう!」とでも言うように首を縦に動かしていた。
(あれ? でも、ショッパヘェールって、朝の挨拶じゃなかったの?)と思って部屋に戻る前にセイフィさんに尋ねて見ると、彼はちょっと笑いながら、「そうですねぇ~、、、朝挨拶で言うのはショッパヘェールと言います。 さっきハタミさんが言ったのはシャッパヘールで、これは、お休みなさいと言う感じの言葉です。 ショッパヘェール、シャッパヘール、似てますので日本の人にはちょっと難しいかもしれないですねぇ~」と言われた。
なるほど、、、
しかし、翌日からは、朝ばかりでなく夜も積極的にハタミさんに声を掛けるようにした。
ヘロヘロ状態で、ホテルの部屋へ
部屋に戻ると時刻はまだ8時過ぎだったので洗濯をしようと思っていたが、何だか身体がだるくて疲れ切っていた。
夕食のメインディッシュのサーモンも半分くらいしか食べられなかったし。
これはいけない・・・
疲れが溜まっているのかもしれない、、、と思ってベッドの上に横になると、いつの間にか眠ってしまったようだった。
大音量のアザーン
午後11時過ぎ。
アザーンの音で目が覚めた。
夜の11時である! 眠ってしまっていたことに驚いたが、それよりもそんな時間に大音量で流れてくるアザーンにも驚いた。
一体こんな時間に何なんだと思って部屋の窓を開けると、ホテルの隣りのモスクからそのアザーンは聞こえてきていた。
ホテルの隣りがモスクだったとは・・・。
遠くで聞けばそんなに気にならないだろうが、モスクはホテルの隣りである。
参ったなぁ~~、、、このアザーンは、いつまで続くんだろう・・・。
部屋の中は、干しブドウのエキスであちこちべとべとしていた。
スーツケースの中で漏れた干しブドウのエキスを拭き取るためにスーツケースから出したいろいろな荷物にそのエキスが付着していたので、それを置いたところとか、それに触れた手で触ったところがあちこちべとべとしていたのだ。
そして、気が付けば、トイレのトイレットペーパーが切れていた。
部屋に備えつけのティッシュペーパーもなくなっていた。
これを、世間では「踏んだり蹴ったり」と言うんだろうか・・・(T_T)
結局そのアザーンは、その後音量が多少落ちはしたが、日が明けた午前1時過ぎまでは続いていた。
その後は眠ってしまったようで、その後何時まで鳴り響いていたかは定かではなかった・・・。