第十日目 9月24日:その3
午後の観光、その2
朝は通り過ぎた「クルアーンゲート」
ナクシュ・ラジャブとナクシュ・ロスタムの見学を終えると午後2時55分、バスに乗り込んで再びシーラーズへと戻って行った。
40分ほど走ったところで警察でタコメーターチェックを受け、午後3時45分の頃、緩やかな下り坂の途中で往きに見損なった「クルアーンゲート」の前に着いた。
このクルアーンゲートは10~11世紀の頃の遺跡で、20年前まではこの門の下の道路を一般車両が通行していたと言うことだ。
現在は、この門の脇の道路を車は走っていて、門の下は歩行者が通行できるようになっていた。
門からは真っ直ぐにシーラーズの市内に道が続いていて、その道が下り坂になっていたのでその先遠くまで見通すことができたが、そこにはモスクなどがぼんやりと見えていた。
そんな様子から、この門は昔はシーラーズに入るのための玄関口となっていて、主要道路として使われていたんだろうと思った。
現在はこの門の先から右手に幹線道路が分かれていて、その先を行くと、例の「キャリーム・ハーン城塞」へと続くようになっていた。
昨日見損なった「ハーフェズ廟」
クルアーンゲート前を出発すると、その後は昨日時間切れで立ち寄れなかった「ハーフェズ廟」へと向かった。
ハーフェズ廟はクルアーンゲートから南へ約1kmほど下ったところにあった。
バスを降りて中に入ると、そこは綺麗に手入れがされている庭園といった感じになっていた。
ここに葬られているハーフェズは、昨日訪れた「サアディー廟」に葬られているサアディーと同じくイランの抒情詩人で、イランで最も偉大で敬愛されている抒情詩人と言うことだ。
我々が訪れた時にも園内には綺麗な花が咲いていたが、バラの季節は更に美しい庭園となっているだろうと思った。
大理石でできている棺が納められている建物は六角形をしていて、6本の柱で囲まれていた。
そして、その屋根の裏側には、イスラム風の幾何学模様が施されていて見事だった。
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聖職者への質問
ハーフェズ廟の見学を終えてそこを出る時、入口の手前のところに黒い装束を着たイスラム教の聖職者のような人が一人椅子に座っていた。
(この人は一体ここで何をやってるんだろう)と思っていると、他の人から同じような質問が出た。
それでセイフィさんがその聖職者のような座っている男性に話し掛けた。
そして、しばらく何か話していた。
その後セイフィさんが説明してくれたところによると、黒いターバンのような帽子を被っているその男性はイスラム教の宗教関係者で(黒いターバンのような帽子を被っている人は、かなり高位の人とのこと)、ラマザンの期間中はこうやって町の中にいて人々から質問を受けていると言うことだった。
その話を聞いたツアー客の中の大阪から来ているM母娘さんのうちの娘さんが「それなら・・・質問していいんですか?」と遠慮しがちに言って、セイフィさん経由でその聖職者の男性に質問をしてもらった。
それは、「イランの女性は、女性だけこうやって暑い中でもスカーフをしなければいけないと言うことをどう思っているのか、聞いてもらえますか?」と言うことだった。
今回のツアーの間、そのM娘さんは、どうにもそれが我慢できないと言う様子だった。
暑いと言うことと、うっとおしいと言うことが原因のようで、男性はそのようなことをしないでもいいのに女性だけやらなければいけないと言うことにも納得がいかないようだった。
イスラム教の中でもほとんどがシーア派のイランでは、特に女性は外出時にはスカーフを必ず被らなければならないと言うことで、確かに外で見かける成人女性は、必ずと言っていいほどスカーフを被っていた。
また、町中ではよく警察官の姿を見かけたが、それは女性がスカーフを被っていない場合それを取り締まることもその役目だと言うことを後で聞いた。 まるで「宗教警察」のようだが、それくらい宗教上の戒律はイラン人の中では厳格に守らなければならないと言うことなんだろう、か・・・。
(そうは言っても、お酒は陰で飲んでる人もいると聞くが、、、まぁ、そう言うことはどの国でもあり得る訳で・・・)
なので、それはそれで「何でだ?」と思っても、しょうがないことだと思った。
また、日常的に行われていると言うことは、それが「習慣」になっていることだから、それもまた理由を聞いてもしょうがないのでは、とも思った。
日本のサラリーマンが夏は特に暑苦しくまた実際苦しいのにビジネス上では「ネクタイ」を着用しなければならないことを「あなたは何でそれを我慢して締めてるんです!?」って聞いてるようなものじゃないか、と思った。
スーツにしたって同じで、「何で着てるの?」って聞いたところで、しょうがないことだろう。 それがビジネス上は必要なことで、個人的に「嫌」で「着たくない」と思っても、それでは世の中通用するものではない、、、と思う。
そんなことを思いながら、その聖職者の答えることをセイフィさんが通訳してくれていたが、それを聞いていたM娘さんは、それでもその説明が納得いかないようで、「それはあなたが男性だからで、ホントに女性がそう思っているのか知りたいなぁ~」と食い下がっていた。
まぁ、しょうがない・・・。
時間のこともあるので、その辺りでその男性にお礼を言って、その場を後にしてバスに乗ってホテルへと向かった。