キルギス3日目のこの日は、一路カザフスタンを目指して走り、陸路で国境を越えてアルマトイの町へ向かう予定になっていた。
・・・
湖畔を散策
この日は国境越えの一日となるため、ホテルの出発は8時になっていた。
そのため、朝はそれほど時間的な余裕はなく、朝食を済ませた後の時間を使って、せっかくイシク・クル湖の湖畔のホテルに泊っているのだから、、、と言うことで、湖のほとりまで散策に向かった。
部屋を出てから、ホテルの案内図を頼りにまっすぐに歩いて行って白樺の並木が切れたところで、向こうにイシク・クル湖が見えて来た。
そこには、昨日の雨に降られて寒くて凍えそうになったクルーズが嘘のような湖の景色が広がっていた。
このイシク・クル湖は、シベリアのバイカル湖に次いで透明度が高く、天山山脈から注ぎ込む川はいく筋かあるがこの湖から流れ出す川はないと言う、不思議な湖と言われる。
そんなことを思いながら湖のほとりで湖水を見ると、ソ連が崩壊した結果として今この湖を見ることが出来ていると言う、何とも言えない嬉しさに浸ってしまった、、、^_^;
また、日本は周囲を海で囲まれていて、海を見ることは子供の頃から当たり前のことのようにして育って来ているが、ここキルギスでは、一度も海を見ないまま一生を終える人が恐らくほとんどなのではないか、、、。
そんなキルギスの人々にとっては、このイシク・クル湖は、まさに「海」に相当する湖なのかもしれない、、、そんなことを思ってしまった。
国境越えに向けて出発
8時にホテルを出発すると、バスはキルギス初日に到着した首都のビシュケクに向かって走った。
この日の目的地であるカザフスタンのアルマトイの町は、チョルポン・アタの町から北に向かって直線距離で恐らく数10kmもしないで行けるところだったが、そこには天山山脈の支脈が走っていて、その山脈を越えて行くルートはバスでは通行することが出来ないと言うことのようだった。
そのため、一度ビシュケクに向かって西に走り、そこから折り返すように進路を東にとって、国境を越えてアルマトイに向かうと言う迂回ルートをとるようになっていた。
そんな中、ホテルを出発すると近くの席に座っていた千葉のSさんが、朝から腹の調子が悪い、と言っていた。
昨日の昼食と夕食の2回、ワインをシェアして飲んでいたので、そんなことが影響しているのかな?と心配になった。
蜂蜜の販売所に立ち寄る
そうこうしながらも、ホテルを出発してから1時間ほど走った所でバスは止まった。
そこには蜂蜜の販売所があった。
本来今回参加していたツアー会社は、観光を主体とする行程をとっていて、よくある「土産物店に立ち寄り」と言うことは基本的には行っていなかった。
それがこのツアー会社のいいところでもあった。
しかし、そうは言っても、滅多に来れないキルギスに来ていて今まで何も土産物を買う機会がない、と言うことで、ガイドのエルメックさんに「土産物を買う機会はないの?」と言う要望がいくつかあったようだった。
それで、ビシュケクに向かう街道沿いにある蜂蜜を販売している店に立ち寄った、と言うことのようだった。
キルギスに来てから初めてそう言った地元の品を売る店に立ち寄ったために、ツアーの皆さんもそれなりに何かを期待してバスから降りて行ったようだった。
が、そこに並んでいた蜂蜜は、どれも1瓶の容量が多く、普通で1kg入りだった。
1kgの土産をひとつ買うことが、どれだ重量的に負担になるのかは、皆さんそれなりに承知していたようだった。
それに値段を聞いてみると、それほど価格的な魅力も今一のようだった。
そんなにお買い得でなくて、最低でも1kgから、、、となれば、皆さん、買うことに躊躇してしまうのはしょうがないことだったんだろう。
結局、せっかく立ち寄った店だったが、誰も蜂蜜を買った人はいなかったようだった。
道路工事でストップ
そこから更に1時間ほど走ったところで、バスは停車した。
周囲には小高い山が見えていたが、そんなところでバスの前には何台かの車が止まっていた。
一体何事か?と思っていると、どうやらその先で工事をしているようだった。
そのためにバスは止まったようだが、暫く止まったままで一向に動きそうになかった。
(何をやってるんだろう?)と思っていると、右手の崖の上に人影が見えた。
そして、その人達が足元の崖を崩していたのだ。
その様子から、その崖を崩す作業を行っている間は、岩などが道路に落ちて来るので通行止めにしていることがわかった。
いやはや、、、
何とも、非効率的と言うか、、、参ったなぁ~。
そうこうしているうちに、崖の上で作業をしていた人が何やら相図をしているのが見えて、それをきっかけにしたように前の車が動き出した。
何とも言えないが、こう言ったひとつひとつの光景が、今のキルギスの実態と言うことなんだろう。
緊急停車!!
再び走り出して、10時40分を過ぎた頃だったろうか、、、。
バスの車内で、千葉のSさんが、突然「Sさん(添乗員さんの名前)、エメージェンシー!、バス止めて!!」と叫んだ。
朝から調子の悪かった腹の具合が、もうどうにも我慢できなくなったようだった。
それで、バスは緊急停車して、青空
トイレストップとなった。
昨日はあんなに元気だったのに、、、。
確かに、自分の体調を考えても、キルギスに来てから便はゆるめになっていた。
それでも、今まであちこち旅をして来て、トルコの東部を周った時には一度ひどい目にあったことがあったが、それでも腹を下したのはそれ一度だけだったので、今回も自分なりに注意をしていたのでSさんの緊急事態は他人事のように思っていた。
弁当をピックアップ
そんなことで、急遽の青空トイレストップとなったが、それから1時間ほど走ったところで、この日の昼食の「弁当」をピックアップするためにバスは止まった。
この日の昼食は、レストランではなく「弁当」になっていたのだ。
恐らく、移動途中に食事を摂れるような店がないことが予めわかっていて、それでやむなく弁当になって、昼食は移動するバスの中で摂ることになっていたんだろう。
止まったバスの窓から見ていると、道端で止まっていた乗用車のトランクルームから段ボールに入った弁当をバスに積み込んでいるのが見えていた。
・・・
以下、続く・・・。