午後1時10分、黒目川は東京都の東久留米市から埼玉県の新座市に入って流れて行く。
新座市に入ると黒目川も中流域になっていて、川沿いの道もこれまでとは様子が違って来た。
それまでは源流域からずっと、ホントに細い流れであっても川の両側は柵等でがっしりと遮られていたが、この辺りになると川から河川敷、堤防、土手と柵等がなく、のんびりとした光景となっていた。
午後1時45分、目の前の黒目川の上には、大きな構築物が現れた。
それは関越自動車道だった。
自動車道路は普通はその上を車に乗って走るもので、こうしてその下を歩いて通ると言うことは、なかなか経験できることではない。^_^;
その高架下を潜って進むと、その先左手には「馬場運動場」と言う表示がある運動場があった。
「馬場」と言う名称を見ると、これまで歩いて来た黒目川に架かっていた「降馬橋」や「落馬橋」等と併せて、やはり「馬」の存在が気になった。
関越自動車道の下を潜って1kmほど進むと、黒目川の右手にはこんもりとした茂みが現れた。
そこは「平成の名水百選 妙音沢」があるところだった。
妙音沢は黒目川の湧水地点のひとつで、歩道のところから細い水の流れが奥まで続いていて、その近くには木製の遊歩道が出来ていた。
それでその遊歩道を歩いて水の流れを辿って行くと、どうやら湧水地点と思われる地点に着いた。
そこでは、目の前に20数mくらいはありそうな崖が迫っていた。
その下の部分では大きな玉石が積まれていて、それに金網がかぶせられていた。
その玉石の下のあちこちから水が流れ出していたので、それらが湧水なんだろう。
地面から水が湧き出している様子は、何と言うかある種神秘的にも思えるものだ。
昔は湧水地点を見ると言うことは、日常生活の中で比較的そう珍しくない光景だったのかもしれないが、河川が整備されまた池や沼などが公園化されたりしている現代社会では、なかなか湧水地点を見る機会が少ないのかもしれない。
なので、何かの機会にこうして湧水を見ると、非日常的な気持ちになるんだろう。
それにしても、何とも心が穏やかと言うか、、、
こう言う場所には、なにか「気」があるのか、昔話題になった「1/f」の揺らぎが感じられるのか、マイナスイオンがあるのか、詳しくはわからないが、落ち着いた気持ちになった。
ところで、その切り立った崖の上を見ると、所々に家の屋根のようなものが見えていた。
下からではその崖の上の様子はわからないが、少なくとも下から見た限りでは、こんな崖の近くに家を建てて住んでいる人の気がしれなかった。
その少し先の辺りでは、崖の上に住宅が建っているのがはっきりと確認出来たが、「観測史上初めての1時間に○○○ml」の降水量を記録するようなことにでもなったら、この崖は崩れて来るのではないか、そんな気がした。
そんなことで、崖の上に住宅があるからなのかもしれないが、この妙音沢の水は「飲めません」との注意書きがあったのは残念だった。
妙音沢を後にして進むと、そのすぐ先でも黒目川にどぼどぼと水が流れ込んでいるところがあった。
この辺りの台地は、よほど保水力があるようだ。
その先に架かっている橋から先には右側に歩道がなく、やむなく橋を渡って反対側に出て、川の左側を進んだ。
その後20分ほど進むと、その辺りは朝霞市の「膝折」と言う地名になっていた。
この辺りは地図で見ると、新座市と朝霞市を出たり入ったりするようになっているが、それは昔は黒目川がこの辺りではなかり蛇行していたからなのかもしれない。
また、膝折と言う地名については、「この辺りの台地を馬が降りる際に、急なために膝を折ってしまった」とかの話を聞いた。
それで調べたところ、膝折は川越街道の「膝折宿」がこの近くにあるようにこの辺り一帯にそのような地名が付いているが、「ひざ」は「ひじ」に通じ、人体のひじやひざのように曲がっている様子を表し、地形で言えば曲がり角や切り立った斜面を意味すると言う。
一方、折は「降りる・下る」という意味で、坂道を示しているのだと言う。
すなわち膝折は、「切り立った斜面を降りたところ」という意味で、朝霞市のこの場所は黒目川へ下るかなり急な斜面があり、まさにこのような地形にふさわしい地名だと言えると言うのだ。
なるほど、、、
そう言えば、この先歩いて行くと、左手には「朝霞台」と言う台地が現れて来た。
ところで、この少し手前を歩いている時に、黒目川の堤防の斜面のところに大きな文字で「コロガシ禁止」と書かれた注意看板があった。
これが一体何を意味しているのかと、歩きながらあ~でもない、こ~でもないと推論したが、帰宅してから調べたところ、釣りの方法に「コロガシ釣り」と言う方法があると言うことがわかった。
もしかしたら、そのことを言っていたのかもしれない。
この釣りの方法は、結構ごっそりと魚が掛かってしまうので、禁止している河川が多いらしいのだ。
そして午後2時40分。
黒目川は、国道254号線に架かる新座大橋を越えた。
その前後の遊歩道は工事中で通行出来ない区間があったが、その橋の手前に立て掛けてあった看板によると、その工事は平成25年9月30日まで掛かると言うことが書かれてあった。
何と!
我々が歩いた翌日ではないか!?
と言うことは、二日後には工事が終わり、この遊歩道も開通していると言うことなんだろうが、、、
その時の工事の状況からでは、とてもではないがあと二日で完了するようには思えなかった。
さて、今頃はどうなっているんだろう?
・・・
以下、続く・・・。