ホテル南風荘での休憩を終えて、午前11時40分の頃、再び行列の行進が始まった。
と言っても、行進のスタートを示す合図や掛け声が掛かった訳ではなく、何だかよくわからないが、前の方が動き出して、そのうちマーチングバンド「シリウス」や座間のアメリカ陸軍軍楽隊が次々に演奏を始めながらスタートして行って、そうこうしているうちに我々の前徒士隊が歩き始める順番になったのでスタートした、と言う感じだった。
どうもこの行列は、厳しく統制されていると言う様子ではなく、「なんとなく」、前の動きを見ながら動いていると言う感じだった。
そもそも、今回の大名行列に参加するのに当たって、どんなスケジュールで行動するのかは、着替えを行った湯本小学校の体育館の壁に模造紙に書かれた予定表が貼り出されていて、それを各人で勝手に見るようになっていた。
と言うか、受付の際には着替え一式を受け取っただけで、その場で「予定表が貼ってありますのでそれを見て確認しておいてください」と言うような案内は一言もなかった。
なので、それを見なかった人は一体どうしたんだろう?
それともうひとつは、受付に置かれていた箱根大名行列の印刷物で、それは一般の人にも配布されているものと同じものだったが、それに行列が歩くコースと主だった通過ポイントの通過時間が書かれていて、そこには休憩場所なども書かれていた。
なので、各自でそれを見ながら歩くと言う方法もあった。
でもそれも受付で配っていたと言う訳ではなく、気が付いた人が自分で持って行くと言うことだったので、これら両方を見てない人はそれこそ他の周りの人の動きに合わせて行動するしかなかっただろう。
そんな感じで、行列自体には厳しい、と言うか小まめな案内などは出てなかったようだ。
実は休憩に入る時もそうだった。
ホテル南風荘前に着いた時に、「ここで小休止です」とか「お茶やお菓子のサービスがあります」と言うアナウンスがあった訳ではなく、前の方の人達の動きの後に付いて行ったら休憩場所があって、そこで本能の赴くままにお茶に手を出し、お菓子の袋を破いていた、と言う感じだった。
もしかすると、江戸時代の行列でもこれに似たような行動を取っていたのかもしれない。
大きな隊が号令に基づいて一斉に行動すると言うのは、明治になってからの軍隊で始まった形ではないだろうか?
そう思うと、今回の行列でのひとつひとつの行動が面白く感じられた。^_^;
・・・
小休止後の行進は約30分ほどで、「天成園」と言うホテルに到着した。
天成園に入る際には行進しながらだったが、前に続いて歩いて行くとホテルの駐車場にそのまま進んで行って、その先でお弁当を配っていた。
(そうか、ここで昼食かぁ~)
そんな感じだった。
それにしても無料で昼食をいただけるのはありがたかった。
いただいた弁当は、箱根町湯本にある持ち帰り弁当専門店の「むすび家」の「箱根御関所弁当」だった。
この店、後でインターネットで検索して調べてみたが、まだ歴史が浅いのか情報が乏しく詳しいことはわからなかった。
が、内容は野菜の煮物から鶏の唐揚げ、エビフライ、焼き魚、サラダなどが入っていて、充分なものだった。
ところで、先ほどの休憩場所でもそうだったが、ここでも腰元達とは別になっていた。
腰元達は着物姿と言うこともあってか、「特別席」での休憩になっていたようだ。
^_^;
さて、昼食を摂り終わった頃、ホテルの館内放送があった。
それによると、「行列に参加している侍や御姫様とこれから約30分間、写真撮影をすることが出来ます。御希望の方は、橋の付近にお集まり下さい。」と言うようなことを言っていた。
昼食を摂り終えて一休みしていた時だったが、その放送を聞いて、
「あれって、もしかして我々のこと? そんな話聞いてなかったけどねぇ~。橋の所に行った方がいいのかな?」
などと言うことになって、取り敢えずその橋の辺りに行ってみた。
そこには食事を終えた行列に参加していた他の人達がいたが、一般の観光客も混ざっていた。
そんな中には、スペシャルゲストの西岡徳馬さんもいて、代わる代わる衣装を着た行列のスタッフ達が写真を撮らせてもらっていた。
そうこうしながら我々も記念撮影を撮ろうと思って橋の辺りをうろついていると、一般の観光客の人達から「一緒に写真撮ってもいいですか?」と声を掛けられた。
「あ、いいですよ~」と答えて、(こんな私でもいいんだろうか?)と思いながら、何とかポーズを取って一応ながらのモデルになってしまった。^_^;
そんなことが2~3回続いた。
こう言うことに際しての観光協会からの説明や案内も一切なかったので、言ってみればその場での個別の対応と言うことになり、各自の判断でやってよかったんだろう。
何だかこうしたことのひとつひとつがゆるゆるで、企業の中で常日頃働いていると感じる「規範」「規制」「規律」「統制」「規則」などと言うことからはまるで縁遠い感じで、開放感があると言うか、ある意味心地よかった。^_^;
・・・
1時間半ほどの昼食休憩を終えて再び出発すると、その先のコースは箱根湯本駅前の土産物店が並んでいるメイン通りに入って行った。
その辺りになると、午前中とは比べものにならないくらいの観光客の数で、そう言った人達の視線を浴びながら歩いて行くと言うのは正に初体験だった。
ほとんどの場合は、行列を見る向こう側にいるので、いつもとは全く逆にいると言うことが面白かった。
そうは言っても、我々のすぐ後ろには箱根町の山口町長が歩いていて、そのすぐ後ろには西岡徳馬さんがいたので、観光客の視線はほとんど町長や西岡さんに向かっていた。^_^;
・・・
午後の行進は約1時間だった。
と言うことで、箱根湯本駅前を通過した後は湯本大橋を渡って、ゴールの「湯本富士屋ホテル」に入った。
湯本富士屋ホテルでは、ホテル前の広場のところに椅子席が用意されていて、そこにホテルの客と思しき人達が多数座っていて、我々を拍手で迎え入れてくれた。
ある意味、大名行列を見るための特等席と言うことなんだろう。
我々行列は、その特等席の脇から奥に入って行ったが、そこで恐らく終了と言うことになっていたんだろう。
そして行列が終了した時も、西岡さんの周りにはたくさんの人が集まって、記念撮影をしてもらっていた。
常に西岡さんを見ていた訳ではないが、見た限りでは非常にサービス精神が旺盛で、好感が持てる人だと感じた。
その先には協会の係りの人と思しき人が待っていて、「小道具はこちらで回収していま~す!」と声を掛けていた。
それで、そこで刀と脇差と笠を返却すると、その先にはテーブルが用意されていて、その上には缶ビールや缶チューハイ、小袋入りのお菓子などが今まさに出されていた。
それで、誰から言われたと言うことではなく、もう本能的に缶ビールに手を伸ばして、早速一杯いただいてしまった!(^_^)v
そんなことをしているうちに、別々に行進していた後徒士役の二人と腰元の二人が合流して来て、ここで漸く全員そろっての乾杯~~!
お疲れ様でしたぁ~~!
ヽ(^o^)丿
いやぁ~~、
何だかよくわからないうちに始まって、終わってしまったが、初めての体験で、ものすごく楽しかったぁ~~!ヽ(^o^)丿
・・・
*おまけ
全てが終わって再び湯本小学校に戻って着替えた後に、箱根湯本駅前を散策した。
そこで「珈琲牛乳ソフト」をいただきましたぁ~~!^_^;