午後2時40分。
引き続き、ワルシャワの市内観光を行う。
旧市街を守る砦のバルバカンの下を潜って旧市街に入ると、その先には細い路地が続いていた。
その路地を抜けると、急に視界が開けたところに出た。
そこは、旧市街の中心の旧市街市場広場だった。
ここは、昨晩夕食後にホテルから散策に来たところだったが、やはり夜見る景色とは違うものだ。
広場の周囲には中世風の建物が並んでいるが、これらの建物は第二次世界大戦の時にほとんど破壊されてしまっていて、戦後になってから残されていた写真や図面をもとに戦前の破壊される前の姿をほとんど忠実に再現して建て直されたと言う。
そして、この広場の中心部には人魚像があって、観光客だろうか、その像の前で写真を撮る人が何人もいた。
ところで、この人魚像にはワルシャワについての曰くがあるらしい。
*人魚像:ワルシャワ市の紋章は、人魚をデザインしたものだ。バスやトラムの車体に描かれているので、左手に盾、右手に剣を持ったその姿を目にすることがあるだろう。
人魚の像はふたつあ(って、その)ひとつは旧市街市場広場の真ん中(にある)。
この人魚に関しては、いくつもの伝説が伝えられているが、話のだいたいの骨格はこうだ。その昔、未開のヴィスワ川沿いに貧しい漁師が住んでいた。当時この辺りは背の高い植物が茂って、魚の格好のすみかとなっていたので、漁師は毎日仕事に精を出していた。ある朝、漁師は網にかかった人魚を生け捕りにした。
下半身は魚だが、上半身は美しい女性だった。驚いた漁師は人魚を家に連れて帰ったが、川に帰してほしいと懇願され、結局は帰してやった。それ以後、漁師の家の周りにだんだん人が住み着き、魚がよく売れるようになって漁師は裕福になった。その漁師夫婦の名前がワルスWarsとサワZawaで、これがワルシャワの始まりだと言う。(「地球の歩き方」より、途中一部、中略編集)
「ワルス」と「サワ」と言う夫婦の名前からワルシャワになったとは面白い。
このことを知って、ハンガリーの首都のブタペストが、ドナウ川の西岸のブダとオーブダ、東岸のペストが合併して出来た町の名前であると言うことを思い出した。
旧市街市場広場を抜けて更に南下すると、その先には教会の塔のような建物が見えて来た。
それは「旧王宮」だった。
*旧王宮:王宮の歴史はワルシャワの歴史でもあるといわれる。ここはかつて王の住居だっただけでなく、国会や大統領執務室として、また士官学校や国立劇場がおかれるなど、文化、政治、経済の舞台でもあった。ワルシャワに遷都したジグムント3世の居城だった頃は、「ヨーロッパで最も美しい宮殿のひとつ」といわれていたという。ここも第二次世界大戦で破壊されたが、「王の広間」にあった最も価値の高い調度品は美術史家、復元専門家などの手で国外に持ち出されていたために難を逃れた。復元作業が完成したのは1988年のことで、バロック様式の建物の内部はジグムント3世が暮らしていた当時のままに再現されている。(「地球の歩き方」より)
この旧王宮については印象に残っていることがある。
それはガイドのエリザベスさんが言っていたことだが、この旧王宮についてはポーランド政府はもっと早い時期に修理・復元をしたかったが、ソ連が許可してくれず漸く1970年代前半に再建が始まったと言うのだ。
それで、「ポーランドは独立国なんだから、旧王宮を再建するのに何でソ連の許可が必要だったんですか?」と訪ねたところ、彼女はかなりむっとした表情で「その当時ポーランドは独立国ではなかったよ!」と答えたのだ。
それが当時のポーランド人の気持ちの実態だったのかもしれない。
いや、旧王宮の再建が自由に行えなかったと言うことは気持ちの問題だけではなく、政治的な実態だったと言うことなのかもしれない。
さて、その旧王宮前の広場には、一本の高い柱が建っていた。
その上に載っていたのは「ジグムント3世の碑」だった。
このジグムント3世は、1596年にポーランドの首都をクラクフからワルシャワに移した王で、この像は1644年に彼の息子であるヴワディスワフ4世が、イタリアのロッチ、テンカッラ、モーリに造らせたものだと言う。
(現在の像は1949年に再建されたものだと言う。)
その後はバスに乗って3~4分移動した。
バスを降りて入った建物がどこだったのか記憶が定かではない。
が、公共の建物のようで、吹き抜けのようなスペースの周りの部屋は事務所のような印象だった。
その建物の一室に入ると、そこにはピアノが用意されていた。
そこで、ショパンのピアノコンサートが行われると言うことで、我々は席について待っていた。
注意事項として、演奏中の写真撮影はダメと言うことで、演奏終了後はピアニストとの記念撮影はOKと言うことだった。
さてそれで待っていると、そこに入って来たピアニストはどこぞの音楽大学の教授のEwa Beata Ossowska(ベアタ・オソウスカ)さんと言う女性で、彼女は一礼して椅子に座ると両手をゆっくりと挙げて一瞬その動きが止まったと思った。
すると、次の瞬間、いきなりピアノの演奏を始めた。
正直なところ、ショパンについてはあまりよく知らなかったが、演奏が始まると聞いたことがある曲が続き、(あ~、この曲・・・)、、、と思うとともに、そのピアニストの指の動きに驚愕してしまった。
よ、よくもあれだけ指が動くもんだ!(@_@。
ショパン、恐るべし!
それで聞いた曲は、全部はわからなかったが、最初の曲は「革命のエチュード」、二曲目は「幻想即興曲」として知られている曲のようだった。
そして途中休憩が入ると、用意されていた白ワインが振舞われた。
休憩後は三曲が演奏されたが、あっという間のミニコンサートだった。
演奏が終わると希望者はピアニストとの写真を撮ったり、彼女のCDの即売が行われたが、それを買った人がいたかどうは定かではない。
(*画像は、多分その時に即売されていたCDジャケット。
写っているのは、その時のピアニスト、ベアタ・オソウスカさん本人だが、ちょっと前に撮った写真のようで、実物の彼女はもう少し年がいっていた。^_^;)
・・・
と言うことで、ぼちぼちポーランドツアー記も、終わりが近いか?
以下、続く・・・。