旅立ち:3
出国:その2
初の喫茶・お食事券
まぁ~、そうは言ってもいずれは飛ぶんだろう、と思って、午後3時半頃に配布が始まった「ミールクーポン」なるものをゲットして、食事をすることにした。
何しろ順調な流れであれば、今頃はぼちぼちで空の上で機内サービスが始まる頃で、それを見越して昼食として船橋駅前のコンビニで買ったサンドイッチしか食べてなかったので、ぼちぼち腹が減って来ていたところだった。
それにしても、生まれて初めて使うことになる「フライト遅れ」のための「ミールクーポン」。
配布された時に係りの人に利用方法や利用場所について尋ねると、上の階の周辺のレストランで使えるとのこと。 券面には「JPY 1000」と言う表示があるので、1,000円以内の食事ができることなんだろう、と思って、早速階上のレストランがあるフロアへ向かった。
ASIAN CAFE BowlBowlにて、フォ~~!ヽ(^o^)丿・・・
古いな、、、
そのフロアでレストランを探して歩いていると、入口のところで少し行列ができているレストランがあった。
ASIAN CAFE BowlBowlと表示されたそのレストランには、搭乗口で待っている時に同じ場所で旅行会社のバッチを付けて待っていた客が何人か並んでいた。
(ってことは、このレストランで食事ができると言うことか・・・)と思って、その隣りにあったもう一軒のレストランの方を見ると、その店の前にも列が出来ていた。
そうだろうなぁ~、、、何せ、乗る予定の航空機はB747、、、満席なら400人乗れるハズだから、それに近い数の客が今、ミールクーポンを手にして数少ないレストランに並んでると言うことになるからなぁ~。
なので、そのレストランでやむなしと諦めて、そのASIAN CAFE BowlBowlなる店に入ることにして、入口から伸びる列に並んだ。
列に並んでいる間に何を食べようかと思ってショーウインドウに飾られていたメニューを見ていると、アジアン~と言うだけあって、日本や中華、ベトナム、タイなどの麺のメニューが並んでいたが、その半分以上は「こちらのメニューは終了しました」となっていた。
(おいおい、まだ午後3時半過ぎだぞ?)と思ったがそれもやむなし、、、
何せ、JAL645便、台湾行きの乗客が大挙して先にやってきていただろうし、続け様にフライト遅延の客がやって来るのは予想外と言うことなんだろう・・・。
それで、やむなく残っていたメニューの中から、「フォー」を食べることにした。
実は、成田空港は何度も利用しているが、空港のレストランで食事をしたことは今までに一度もなかった。
それで、このアジアンレストランで日本円で1,000円弱のこの料理を食べた外国人は一体どう思うだろう?と思った。
たまたまこの時食べたのは「フォー」だったが、海外から訪れた人たちにこれが日本で一般的に提供されている料理と思われると、それは違うぞ・・・。
「日本じゃあ1,000円も出せばもっと美味いものが食べられるゾ!」と思ってしまった。
恐らく、我々が海外に行って現地で食べる料理にも同じようなことが言えるのかもしれない。
お隣りさんと情報交換
あっさりと食事を終えて再び73番搭乗口の前まで戻ると、事態が進行している様子はなかった。
それで再び椅子に座って待つことにした。
再びその場で本を読んで待っていると、添乗員のYさんがやって来て、「もう少し時間が掛るようです。」と言って他のツアー客の方に去って行った。
すると、隣りの席に座っていた40代半ばと思しき女性が「Y社ですか?」と声を掛けて来た。
そこで「そうです」と答えると「何日のツアーなんですか?」と続けて聞いて来た。
話を聞いてみると、その女性はよくY社のツアーを利用するらしいが、今回は仕事の都合で8日間しか休めずやむを得ず、クラブツーリズム社の8日間のイランツアーに申し込んだとのことだった。
そんなことがきっかけで、旅好きなその女性とあれこれと旅の話をしているうちに、気が付くと随分と時間が過ぎていた。
「あれ? 時間の表示が消えてしまってますよ」、、、見ると搭乗口のカウンターのところの搭乗開始時刻を表している数字が消えてしまっていたのだ。
「これはもう、何時になるんだかわからない、ってことなんでしょうね・・・」。
もうこうなると、自嘲気味の笑いしか出てこない。 まぁ、いずれにしても飛んでくれれば何とかなると思ったが、最悪飛ばない場合、、、機体の整備が終わらないと言うか、不具合が原因で飛行不能と言うことになった場合は我々はどうなるんだ、、、?
そんな話も隣りの女性と話をしながら待っていた。
その間にもう一度添乗員のYさんがやって来て、あまり出発が遅れると現地に着いてからの予定に影響が出そうなことを話して行った。
予定では、成田を出発した後は韓国ソウルのインチョン国際空港に立ち寄って、その後イランのイマーム・ホメイニ国際空港に現地時間の午後11時25分に着くことになっていた。
それからテヘラン市内の、ランクで言うと「高級」ホテルに移動してそこで仮眠を取り、翌朝は早朝に起床してバスで移動し、今度はメフラバード国際空港発6時30分発のIR283便に乗る予定だったのだ。
イマーム・ホメイニ国際空港に着陸してから空港を出るまでに数十分掛るだろうし、ホテルまでの移動でもまた30~40分掛るだろう。
そしてホテルのチェックイン。
と考えると、トラブルがなかったとしても、順調にテヘランのホテルの部屋に入れるのは、午前1時頃になるのではないか?
そして、朝ホテルからバスでメフラバード国際空港まで移動する時間、その後のチェックインの手続きの時間を考えると、ホテルを出るのは5時頃か? となると、起きるのは4時前くらいと言うことか・・・。
そう考えると、元々テヘランでホテルに入っても3時間ほどしか休み時間がなかったと考えられることになる。
それがだ・・・。
ミールクーポンの配布があって、レストランで食事をして戻って来た時点で、予定の搭乗時間から既に2時間半が過ぎていたのだ。
(これは、ヘタをすると、ホテルに入っている時間などないんじゃないかな?)
恐らく、添乗員のYさんも、そんなことが頭にあったのかもしれなかった。
その後も暫く隣りのクラブツーリズム社の女性客と話をしていると、今度はクラブツーリズム社の添乗員さんがやって来て「まだ暫く掛りそうです。 どうも操縦席の下にある左右の機器に不具合が発生したらしいんですが、、、ここから見えますよね? あれなんですが、片方だけでも飛行するには大丈夫らしくて片方は整備が終わったらしいですよね。 でも片方だけではねぇ~~」と言う情報を持って来てくれた。
見ると、操縦席の下辺りにジャッキ型の車両の上に乗って、その辺りを見ている数人の整備関係の人の姿がありその中にはちょっと偉そうな服装をした人もいたので、整備の状況を見ているのかこれからどうするのか確認しているのか、、、そんな様子が感じられた。
「とにかく、万全の状態で飛んでもらいたいですね」
漸く、乗れそうか?
その後暫くして再び搭乗口のカウンターのところに目をやると、「18:10 時間変更」と言う表示が出ているのが見えた。
「何とか飛びそうですね(^.^)」
漸く離陸の目途が付いたようだった。
その後Yさんがもう一度やって来て、この遅れだとテヘランでホテルで泊まる時間がないので、イマーム・ホメイニ国際空港に着いた後はそのまま国内線に乗り換えてケルマンシャーに向かうことにします、と言うことを伝えて来た。
(やっぱりそうか・・・)
何せ、当初の予定よりも既に5時間半ほど遅れているから、やむを得ないだろう。
ところが、ほっとしたのも束の間。
再び案内表示を見ると、先ほど出ていた「18:10 時間変更」と言う表示が、ぱっこりと消えてしまっていたのだ。
(な、なに!? )
一体どうなってるんだ・・・。
結局、その後「18時45分に搭乗開始となります」と言うアナウンスが流れ、午後6時50分に漸く、、、漸くの搭乗開始となった。
何と、当初の搭乗開始予定時間から5時間近くも遅れてのことだった。