イランに向って:2
機内にて:その2
時差の修正をする
さて、インチョン国際空港を出発しても、結局隣りとその隣りの席、即ち、機内中央の大スクリーンのまん前の4列席の中2座席は空いたままだった。
お陰で、テヘランまでは比較的ゆったりと過ごすことが出来た。
上空に達した後、まずは腕時計の時間を調整することにした。
イランと日本との時差は5時間30分。更に9月20日まではサマータイム実施中なので1時間繰り上がるため、実質4時間30分の時差と言うことになる。
そこで、腕時計の時間を4時間30分戻すことにした。
即ち、日本時間の22時はイラン時間の17時30分。
と言うことで、ここからの表示時間はイラン時間と言うことになる。
機内の過ごし方?
最初の機内サービスが終わると、時刻は20時半を過ぎていた。
それにしても、このB747型機は随分と古い機体のようだった。
もしかして、B747が世に登場した当初の機体だったのかもしれない。
何せ、スクリーン画面は機内の中央にデェ~んと一か所にあるだけで、機内左右の3列座席の上からモニターが降りてくるようになっていなかったし、ましてや座席の裏にモニターが付いている訳でもなかった。
今までB747には何度か乗ったが、このような極めてサービスのレベルが低い機体に乗ったことはなかったような気がする。
また、これはイラン航空だからこそだと思うが、機内上映されていた映画がイランの映画だけで、しかもイヤホーンが配られなかった。
その上、目の前での上映!! 近過ぎるんだぁ~~!、、、と言うそんな諸事情のため、見る気もしなかった。
機内上映されているのがイランの映画と言うのは宗教上の理由からで、女性が顔以外の肌を露出する姿やラブシーンなどが当たり前のように映っている欧米諸国の映画などはイランではもってのほか!! とんでもない!! 不埒千万!!
え!?、、、しかしそんなにイランの映画って倫理的に厳しいの???
とは言え、斯く言う日本だって、数十年前まではキスシーンひとつ、大きな問題になっていたから、世の中そんなものなのだろう。
そう考えると、イランの事情が「厳しい」と言うのではなく、今の日本がずるずるなのだ。
と言うか、その基準は社会情勢やその時代によって変わってくると言うことなんだろう。
スポットライトが点かない
さて、映画を見ないのならどうやってテヘランまでの時間を過ごそうか、、、
寝ればいいところだが、どうしても食事が済んですぐに寝ると言うのは、身体のことを考えると抵抗を感じてしまう。
それで、照明が落とされた機内で読みかけの本を読もうと思って、座席横にあるスポットライトのスイッチを押して明かりを点けようとした。
しかし、ボタンを押しても明かりは点かない。
(あれ? おかしいなぁ~、、、ボタンが違ったかな?)と思って、あれこれ試してみたが、どうしてもスポットライトが点灯しない。
これは困った、、、
と思っていたところに、日本人の客室乗務員が通りかかったので事情を話した。
すると、その乗務員は手慣れたように屈み込んでスポットライトのスイッチをカチャカチャ押した。
しかし、どうにもライトは点灯しなかった。
それで合点したように、「申し訳ございません」とお詫びの言葉を発した後、「後方に空いているお座席がありますが、そのお座席のライトも故障しておりまして、、、もし明かりが必要でしたら、懐中電灯をお持ちいたしますが・・・」と言った。
何たること!!(*_*)
スポットライトが故障しているのはここだけでなく他にもあって、なおかつ、そのことを予め客室乗務員は知っていたと言うことのようなのだ。
いやはや、、、
本は読みたし、かと言って、懐中電灯をかざしてまで読む気にもなれなかったので、「いえ、結構です」と残念な気持ちを押し殺して我慢することにした。
いやぁ~~、参った・・・。
暗くて本が読めないなら、寝るか?
しかし、寝るにはブランケットもなくてちょっと肌寒い。
映画も見れず、どうすんべ・・・?(*_*)
そうこうしているうちに、うとうとと眠ってしまったようだった。
テヘランが近くなって来たぞ・・・
ふと気が付くと、着陸の2時間くらい前の時間になっていた。
目の前のスクリーンを見ると、現在飛行している航路が映し出されていた。
それによると、インチョン国際空港を飛び立った後はほぼ一直線にテヘランに向かって中央アジアと言われる地域の、タシケントやサマルカンドと言った都市の上空を通過中のようだった。
(なるほどねぇ~~、、、こう言うところを飛んで行く訳か・・・)
その後機内が明るくなってテヘランに到着する前の機内サービスが提供された。
その内容はと言うと、パンにオレンジジュース、キットカット、それにピーナッツ・・・。
何だ、これはぁ~~!
まるで、ビールのおつまみじゃないかぁ~~!(*_*)
アルコールが禁止されてるって言うのに、これはないぞ!
と思いつつ、ピーナッツは後日お酒の肴にしようと思ってポケットに入れることにした。^_^;
女性は着陸前にスカーフを着用
食事が終るとほどなく着陸態勢に入った。
すると、イラン人以外の外国の女性乗客が頭にスカーフを被り始めた。
それは、イランに入国するには、イラン人であるとないとに関わらず宗教上の理由で女性は全て頭にスカーフを巻かなくてはいけないと言うのがその理由だった。
スカーフだけではない。 腕の肌が露出するのを防ぐために長袖の服を着て、更に体型に余裕があり腰が隠れるくらいの長さがある上着を着なければならなかった。 これは、体型が露わになるようなぴったりとした服は男性に淫らな気持ちを起こさせてしまうことがあるとか?、、、そんな理由からだと言う。
また、ズボン若しくは足首までのスカートを着用し、肌は出してはいけないと言うことだった。
厳しい・・・。
しかも、女性だけ、、、。
・・・
あ、そうそう、、、
男性にも服装での規制があった。
それは、男性は公式の場であってもネクタイを締めてはいけないのだ。
自分の身体を痛める行為、即ちこの場合はネクタイで首を締め付けると言う行為は、イスラームのシーア派では禁止されていることだったのだ。
いやぁ~~、
何とありがたい戒めなんだろう、、、(^_^)v